琵琶湖博物館にある「北比良の石屋用具」が滋賀県の有形民俗文化財に指定されたようです。
北比良エリアは江戸時代には採石していた記録があり、山から切り出された石は琵琶湖に浮かぶ丸子船で運ばれ、滋賀県各地や京都方面へ売られたそう。
鳥居・葛石・敷石などに加工された白い「比良花崗岩」や、灯籠・石臼・庭石などに使われた丸石(秩父古生層の砂岩・頁岩やチャート)が採れたとのこと。
いまの北比良は地図ではこのあたり石材産業は戦後あたりから衰退していったそうですが、石材は川の氾濫から人々を守る石堤や、動物の侵入を防ぐシシ垣、水路や棚田の石積みなど現在も使われています。南小松の八幡神社には、鳥居・石灯籠・日本最大級の狛犬など石工たちの作品が残ってるそうです。
以下、滋賀県立琵琶湖博物館のプレスリリースの説明文です。
琵琶湖博物館所蔵資料の「北比良の石屋用具」(1112点)が、滋賀県の有形民俗文化財に指定されました。本資料は、昭和20年代まで大津市の北比良で行われていた石材業に関わる資料群で、当地の石材業の親方だった方から、琵琶湖博物館に寄贈されたものです。
比良山麓の丁場から切り出された「比良石」は、琵琶湖岸の小屋で加工され、船で各地に運ばれました。これは花崗岩を長尺に加工したもので、各地の鳥居や石段などに用いられています。
本資料群は、鑿と鎚を中心とした石工の伝統的技術を知る上でも貴重であり、近世期以来、当地で盛んに活動した石工の全体像を今に伝えるものとなっています。2020年にリニューアルした琵琶湖博物館のB展示室では、かつての比良山麓における石の切り出しの様子を再現したジオラマも展示しています。
関連リンク
■滋賀県立琵琶湖博物館 | 世界有数の「古代湖」である琵琶湖をテーマとする総合博物館です。
■琵琶湖博物館収蔵資料の「北比良の石屋用具」が滋賀県の有形民俗文化財に指定されました。|滋賀県立琵琶湖博物館のプレスリリース
■文化財目録|滋賀県ホームページ
参考資料
■石材産業と集落空間の関わり
■比良山麓石工鳥瞰図
■[PDF] 土砂災害および洪水対策における地域住民の意識および対応に関する研究―滋賀県比良山地のシシ垣と土石流災害を事例に―
■[PDF]2.自然との共生に見る歴史的風致 – 大津市
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